VISUALBUMを5年ぶりに見た1

今日もマクロ経済学の授業を自主休講し、ブログの記事を書いている。

VISUALBUMとは芸人の松本人志が中心となって作成したコント作品集である。りんご・バナナ・ぶどう・メロンの4つのDVDが収録されていて、前の3つはコント、メロンは特典。ダウンタウンのコントというわけではなく板尾やココリコなども出てくる。特色としては、確立した手法で大きな笑いを生み出すのではなく、実験的に色んな切り口から広義の面白さを追求している印象を受けた。

松本人志が好きと主張する人でもビジュアルバムを見ているのは少数だろう。ビジュアルバムの中で好きな作品は3割程度。恐らく他の人もそのような感じだろう。作品全部を面白いと感じると主張する人は虚勢を張っているか若しくは著しく沸点の低い人のどちらかであると思う。

誰とも会話を交えず自分の思考に没して無機質な日々を送っていた高校2年生の時に頻繁に見ていた。ということで度々思い出してたまに見ることもあったがしっかり見るのは実に5年ぶりである。

寿司

何度見ても異様なコントである。
日常的な寿司屋の風景をただ映しているだけだが、ただ大将が寿司をゲタに置いた瞬間女将が寿司を全力で叩き潰すという一点がおかしい。客も寿司を叩きつぶされた直後はさすがに怪訝そうな顔つきをするが、すぐに店内には何事もなかったかのような空気が作られる。食べ物の中でも特に形式美が強調される寿司を叩き潰されるというのは非常に不愉快なことであるはずなのだが。しかも客3人は常連客だ。恐らく毎回寿司を叩き潰されているのだろう。ここも色々な想像が喚起される。

女将が客のタバコを買い行くため席をはずす際に大将に耳打ちしている場面があるのだが、大将の言動から察するに恐らく女将が席を空けている間も寿司を潰すように頼まれている。そしてその後、木村の扮する中年女が陰口を叩いた際に、女将が突如現れ一瞬にして目に割り箸を突き刺すという場面でコントは終わるのだが、その一瞬のあいだに今田の扮するサラリーマンにタバコを渡しなおかつ袋を切って吸いやすいようにタバコを一本出してくれている。ここはギャグマンガ的な滑稽さがある。通常の意味で笑う点が唯一あるとしたらここだろう。

この作品の疑問点は「なぜ寿司を潰しているのか」に収斂される。しかしそれはどうでもいいことだ。なぜ寿司を叩き潰しているかなどは分からないし分かる必要もないのだが、女将自身はその行為に義務感を感じているのは確かだ。そして寿司を叩き潰すことに関する哲学や信念を持ち、より良く叩き潰す手法も確立しているのだろう。

一つ言えるのは、間違っても何人かで鑑賞するようなコントではない。前述のとおりビジュアルバムの中で好きな作品は3割程度なのだが「寿司」は好きな部類に入るし合計30〜40回は見ている。なぜかは自分でもよくわからない。

巨人殺人

ビジュアルバム一番人気の作品だが僕は好きじゃない。
4人の男(29歳)が恨みのある同級生・坂東を殺害するのだが、如何せん体が極端に大きい(20mくらい)ために隠し場所に困る。隠し場所を選ぶも何度も失敗してオチに入る。物語の筋やオチが大事であるという点で短編映画に近い。
僕が笑ったのは2つ。殺害の合図である「チェックメイト」を連呼しても他の3人が微動だにせず結局「お前ら早くしろ」と怒声を浴びせて任務が遂行された場面。あとは一番最後坂東が正面を向いて全裸で規則正しく回転している場面。

2に続く