オリンピック柔道の感想

小学校1年生〜6年生で週4で練習し今年5月に9年ぶりに再開した僕にとって、柔道は最も注目していた競技であった。ちなみに男子についていた窪田コーチはウチの道場出身で、小学生の時乱取りをやったことがある。

以下は一介のエセ柔道選手の戯言として受け止めてもらいたい。

初日は平岡と福見。平岡選手は動画でよく見ていて、僕も背負い投げ→小内巻き込みの連携を真似しているため、選手団の中でも特別応援していた。男子60キロ級は全体的にやはり動きが軽快で隅返しがよく見られた。平岡の準決勝の背負い投げと小内巻き込みは圧巻だった。決勝のロシア人戦では払い腰で負けてしまったが、さすが本命ソビロフに勝った男、強かった。福見の試合は覚えていないが、3位決定戦にやる気が見られなかった。

二日目は海老沼と中村。海老沼は準々決勝で判定が覆るというハプニングがあった。しかし技の数が同程度であったことと有効に近い形で相手を倒したことを考慮すると海老沼の勝利は自明であったのだが、なぜ主審副審は韓国サイドに3本旗を挙げたのか理解に苦しむ。準決勝で敗れたのは残念だったが、3位決定戦の大腰?はすごく綺麗だった。

三日目は中矢と松本。中矢に関してだが、あそこまで寝技が上手い選手を僕は見たことがない。その上背負い投げも結構上手かった。中矢のファンになったのでこれからも頑張ってほしいと思った。松本兄貴の試合はかなり面白かった。闘志をむき出しにした松本の試合は何が起こるか分からなかったので見てる側として楽しめた人は多かったのではないかと思う。

四日目は中井と上野。中井は冗談で得意技・指導と言っていたようだが、本当だった。上野は僕が柔道の練習から帰ってきたら負けていた。世界ランク1位ということで金メダルを期待してたのだが残念。オリンピック前にグランドスラムの動画等で見ていた限り体落としがキレていたように思えたのだが。

五日目は西山と田知本。西山はまず顔が恐い。支え釣り込み足が絶妙だった。田知本が準々決勝で敗れた相手は強くはなかったように思えたが、関節で腕を壊されてリズムが狂ったように見えた。

六日目は穴井と緒方。穴井の2回戦の相手は特段強くはなかったが、なぜ穴井はあそこで寝技を決められたのか。緒方はよく覚えていないが相手の背負い投げが上手かった。おい、羽賀!早く出てこい!

最終日は上川と杉本。上川ォ…。杉本は払い腰が上手かったけど決勝では技が出なかったので判定負けは納得できる。糖分が準決勝で敗北した上に世界ランク的にも対戦成績的にもオルティスが決勝の相手という好機だったので、一層杉本には勝ってほしかった。ていうか勝てた試合だと思った。


全体的に見てまず感じたことは2つある。まず日本人=柔道、外国人=JUDOの図式は誤りだということ。この図式を全否定しようとは思わないが、当てはまる局面は部分にすぎない。むしろ松本薫を除く今回の日本人選手団の方が、返し技を恐れて技を積極的に出さず相手の反則を誘導するという戦い方が多くみられた気がする(特に中井)。外国人は隅返し・背負い投げ・すくい投げあたりの技がとてもキレていた。外国人の柔道をJUDOと揶揄し、日本人の柔道を「和の精神」という競技以外の領域の中で正当化する時代は僕としてはもう終わってほしい。

次に外国人のレベルが上がっているということ。これは柔道を13年続けている友人も同意してくれた。身体能力に優れている外国人の柔道人口が増えることは、柔道界全体のレベルの向上を意味する。日本での柔道人口20万人に対して、フランスでは80万人、ドイツでは35万人というデータも柔道の拡大の証左となる。友人から聞いたのだが、金鷲旗で優勝した東海大浦和高校団体戦の副将大将は外国人だったらしい。このままでは日本人が駆逐される可能性も否定できないので、柔道戦術においてもグローバル・スタンダードを受け入れてほしい。

4年後の100キロ級では、僕と同級生で小学生の時朝飛道場で活躍していた羽賀龍之介か一つ上で小学生の時柿生青少年柔道会で活躍していた高木海帆に期待したい。どちらもポスト穴井と言われている。羽賀とは体重が違ったので対戦したことはないが、よく同じ会場で試合していた身としては頑張ってもらいたい。