「知の教室」/「経営史」

4月18日読了。2016年13冊目。
様々な雑誌から佐藤優の対談や論考を引っ張って再編したもので本全体に統一感はない。情報収集、ユダの福音書アウトロー、知的生活、自衛隊、明治の知識人、日本のインテリジェンス、読書論、日中領土問題、ロシア情勢読解ととにかくテーマが雑多で内容が具体的。

大学1年生の頃すなわち4年前に小谷賢氏のインテリジェンスに関する本を読んだ憶えがあるが、日本のインテリジェンスの組織(情報を収集し分析し実行する組織)は弱体で単独機関がなく情報共有がうまくいっていないということはよく聞く。明治時代など戦前の日本は命がけで一級の知識人や豪傑が中まで入りこんで情報をとってくる情熱が見受けられる。現代は学問や知性が細分化し特定の分野のプロフェッショナルが活躍しやすいが、それでも幅広い教養と知識と人格を持ち合わせたゼネラリストは日本のインテリジェンスには必要だろう。

経営史 (日経文庫―経営学入門シリーズ)

経営史 (日経文庫―経営学入門シリーズ)

4月18日読了。2016年14冊目。
大学の講義の課題で読んだ本。コンパクトに経営とマーケットの歴史の知識を身につけられる良本。
各時代における戦略商品で優位に立つことが経済覇権に結びつくという切り口から経営の歴史を遡る。イギリスにおける第一次産業革命の綿工業・製鉄業から、後発国における第二次産業革命の重工業を経て、第三次産業革命のエレクトロニクス革命に行きつき戦略商品とそれに伴うマーケットの需要が多様化。多角化と規模の経営で優位を保持する大企業経済から現在は中小企業やベンチャー企業の意思決定の速さ=スピード感や連結の経済が着目されている。一方、金融市場では歯止めの利かないところに落とし穴がある。

ちなみにこの安部先生の講義・著書の中では「ゼネラル・マーチャント」という単語をよく見る。総合商社が"総合"である必要性に関して全社的にシナジーが生まれそれが利となるという意味で筋は通っているが、労働者側からして働き方がそこまで変わるわけではないのに専門商社でなく総合商社を志望する理由は何なのか、この頃疑問に思う。