第74期A級順位戦最終局一斉対局覚書

2月27日は将棋界の一番長い日、A級順位戦5局同時対局であり、21時頃からニコニコ生放送棋譜速報で棋譜を追っていた。

目玉はやはり名人戦挑戦権をかけた▲行方△佐藤天戦。戦型は横歩取り。中盤あたりから佐藤天八段がリードを広げて棋士控室では後手優勢の結論まで出たものの、と金を寄って部分的必死をかけたあたりから行方八段が逆転した。しかし行方八段の▲7五銀が空振りし突如変調、そのまま投了し羽生名人に挑戦するのは佐藤天彦八段に決まった。王座戦棋王戦に続く3度目のタイトル戦挑戦と今年は波に乗っている。羽生・佐藤天両名の棋風から推測するに名人戦は格調の高い横歩取り、角換わりシリーズになりそうだ。矢倉・相掛かり・対抗型・相振り飛車は恐らくないだろう。

一方でB級1組に降級するのは久保九段と郷田王将の両氏。久保九段は森内九段に対して▲9六銀で頓死し降級、郷田王将は屋敷九段の忍者流2枚銀急戦を鮮やかに下すも無念の降級となった。A級から振り飛車党が消えてしまったのでショックを受けた人は例年以上に多いはずだ。かく言う俺もその一人で、俺自身は居飛車党だがA級で対抗型を見れなくなるのは非常に残念だ。久保九段、郷田王将が上から降りてきて、糸谷八段が下から上がってくるとすれば来年のB級1組は鬼のような厳しさになる。個人的には今期B級2組から糸谷八段・菅井七段の若く且つ面白い棋士が上がってくるのが理想である。特に最近オールラウンダーになりつつある(といっても角換わり・相掛かりはなかなか見ない)菅井七段はファンとして応援している。

現段階では確定的なことはあまり言えないので第74期順位戦全日程終了後に改めて所感を書きたいと存ずる。