「ピュリツァー賞 受賞写真 全記録」

ピュリツァー賞 受賞写真 全記録

ピュリツァー賞 受賞写真 全記録

4月21日読了。2013年42冊目。
圧巻。全く休みを挟まずぶっ通して読んですごく疲れた。1942年から2011年までの受賞作品が掲載されて、それぞれが詳細に解説されていたので内容は充実していた。しかしその反面で文章が多かったことでどういう状況なのか一瞥しただけでは解らなかったのは難点だった。写真を写真として終わらせず背景と結び付けてこちら側に問題提起を促している点で概して良い作品集だったと思う。

戦場や処刑現場等、凄惨をきわめる写真が多かった。日本のように平和な国で生活していると「戦場」「抗争」などの語は無味乾燥な文字としてしか感ぜられないが、写真として見てみると文字とは別格の迫真力をもって訴えかけてくる。映画やドラマでは決して表現することのできない現実感と哀愁とを漂わせている。今僕は頑張って言葉にしようとしているが限界がある。写真は、自分以外との他人とは共有はできないものの、その人にとっては言葉より表現力が高い。写真という媒体は音声も時間的な連続性もなく様々なメディアが発達した現在劣勢に立たされているように見えるが、映像では捉えきれない微細な一面を切り取るという点で優秀な媒体である。