「獣の戯れ」

獣の戯れ (新潮文庫)

獣の戯れ (新潮文庫)

3月1日読了。2013年20冊目。
今まで読んできた三島由紀夫の中では一番つまらなかったかな。「音楽」と同じように娯楽小説に分類されるのではないか。でもそこらのノンフィクションと違って「観念」を大切にしてくれるから新鮮で面白い。


なかなか嫉妬しない優子の気をひこうと逸平は浮気ばかりしていたが、優子に同情した幸二はとうとう彼女を浮気現場に連れて行く。その浮気現場で幸二は逸平をスパナで殴りつけてしまったので傷害罪に問われ刑務所生活を数年送ったが、そののち優子に引き取られることになった。殴られた逸平は、かつてそうだったナイスガイな風貌と様相をすっかり失くして、失語症になる。抽象的な発言・理解どころか日常的な会話もおぼつかなくなる。やがて風変わりした逸平を中心に3人の奇妙な生活が展開していくのだが、幸二は優子と画策してついに逸平を殺害するに至った。

恋愛の話マジで苦手。正直よく分からない。
よくわからないから、解説と合わせて「獣の戯れ」というタイトルに目を向けると、「失語症」という不可解なもの、沈黙の末にある共同体、この2点が「獣」にアナロジーを見出してると勝手に解釈してこの読書は終了したwww

僕個人三島の文章が好きなので読み終えることができたが、他の小説家なら途中で投げ出していたと思う。でも三島って仮面の告白にしても音楽にしても獣の戯れにしても、愛をテーマにするとき異常な形のものしか書かないから好感がもてる。あと三島の作品って映画化されてることが多いけど、絶対文章で読んだ方がいい。感情の機微や風景描写を書かせたら天才だと思うし、何よりここまで言語化できるのかって感動できることが多い。