「天使」

新潮 2012年 12月号 [雑誌]

新潮 2012年 12月号 [雑誌]

12月5日読了。2012年95冊目。

安部公房「天使」10ページ程度のためだけに1000円出して購入。ドイツ語の授業前に買って授業中に読み終えた。

彼の世界の登場人物は自分も含め全員天使になる。世界は善意で満ち溢れている。天使は物に名前をつけない、紙とペンなどいらない、ただ笑って行動すればいいのだ。天使の国においては行動ひいては自我・存在は宇宙の調和的必然性なのだから。しかし小天使(彼の子ども?)との出会いと裏切りによって、彼は天使としての自我が揺らぐことになる。かくして彼は寂寥感・孤独感・嘔吐感を携えて再び現世の住人へと還っていった。

さっぱり分からない。というより精神病患者視点のみで客観的な描写がないので分かるはずがない。この短編は狂人の見える世界のみだけで構成されている。安部公房の「意味に到達していない世界を小説で提供したい」という信念が強く押し出された感じ。

ドイツ語の授業中にササッと読んだので、再読時は集中して読みたい。