「クヌルプ」

クヌルプ (新潮文庫)

クヌルプ (新潮文庫)

10月13日読了。2012年81冊目。


「早春」「クヌルプの思い出」「最期」の3部構成。
初恋の人に裏切られたことが原因で人間が信じられなくなり、定職にもつかず定住もせず漂流した生活を送ることになる。職も家族も住居も金銭の貸し借りといった具体的な生活はなく、観念的で詩的な生活に身を投じる。病気が重篤化したクヌルプは孤独の中、神との対話において、あるがままの彼自身を認めて人生の意味を見出した後、自然に包まれながら、クヌルプらしく息を引き取った。

ノーベル文学賞受賞の文豪の作品にこんなこと言うのも気が引けるが、少し平凡で退屈だった。きっとドイツ語原書で読めば文章の感度が倍増するのだと思うが、これが海外文学の限界か。シェークスピアだって英語で読まなきゃ意味ないみたいな意見あるし。やはり文学を読む際には日本文学を優先したい。

クソ読みにくい翻訳本もある中、高橋健二の翻訳は比較的うまいというか日本語の体を崩している感がないので読みやすいと個人的に感じた。