「多読術」

多読術 (ちくまプリマー新書)

多読術 (ちくまプリマー新書)

9月7日読了。夏休み23冊目。
松岡正剛氏プロデュースの松丸本舗で購入した本。

「若者の活字離れ」「大学生は沢山本を読め」「ネットやテレビなどは受動的なメディアで本は能動的なメディアである」というような常套句を目にする機会が多いが、そもそも読書という行為は崇高で形式ばって難しいものなのか、という疑問が浮かび上がる。

速読術や読書法を指南する本が氾濫しているが、そのような読書術は本来個性のある読書を均質化してしまいやすい。

しかし読書というものは本を開いて読む行為だけに留まらず、本を選び、読み、本棚に並べるなど複合的で重層的なものであり、この中で「読む」を取り上げても、マーキング、ノート、メモ、マーキングに使う文房具など、構成要素に富む。このような複合的・重層的な行為を経て、自分の中の知識をマッピングすることが読書の醍醐味であるといってもいい。

「多読術」というタイトルはこの本にあまりふさわしくないと僕は思う。松岡流の読書術、読書術という形式ばった言い方は語弊を感じるので、読書体験がしっくりくるが、その松岡氏の個性的な読書体験を玩味できる。

この本を読むことで読書のモチベーションを上げることはできると思うが、そのために本を買いすぎて窮乏に陥る責任の所在は自己にあると言わざるを得ない。