「人生に生きる価値はない」

人生に生きる価値はない (新潮文庫)

人生に生きる価値はない (新潮文庫)

中島義道を手にとったのは1年ぶりくらい。題名と内容はあまり関係ないように思われる。前半は本人の様々な見解が盛り込まれている一方で後半は哲学的なテーマが扱われていた。

面白いamazonのレビューを発見

異常なタイトルである。大学の書店で平積みされていたが、いったいどんな大学生がこれを買うんだろうと思った。間違いなくmixiとかやってるイケイケ風な奴は買わないだろうし、体育会系のスポーツマンもとらないし、バンド活動やってるような奴もとらないし、合コン目的にテニスサークルに入っているような奴も絶対とらないだろう。この本を手に取るのは、あんまり友達いなくて、読書が趣味で、童貞で、根暗で、なんか顔が幼くて、写真うつってんの全部無表情で、休憩時間は机に突っ伏してて、修学旅行のなかでバスの窓際が一番落ち着くわみたいな、まさに俺みたいなタイプである。…(以下略)…

BYドリー

要は僕みたいな社会不適合者が手にとる本である。

中島氏曰く、「善良な市民」が無批判に既成の価値観を受容し続け、氏のような社会不適合者にとめどない暴力を喰らわせる。

私はいわゆる「善人」がものすごく嫌いだが、それはこれまで何度も書いてきた。善人とは、とくに知的、肉体的に恵まれているわけでもなく、とくに生まれや育ちがよいわけでもなく、特別の才能もなく、特別の幸運もなく、また、特別世の中に恨みを覚えているわけではなく、犯罪への衝動をようやく抑えているわけでもなく、とくに頭が悪いわけでも、とくに醜いわけでもなく、とくに生まれや育ちが悪いわけでもなく、まったく無能というわけでもなく、不幸の連続というわけでもなく、…これまで生きてきた、いわば「普通の人」である。(P56)

今までで何冊か読んだところ、中島氏は「どうせ死んでしまうのだから」という考え方を軸に、自分なりに論を進めているように思われる。自分の我儘を最低限の社会規範を守りつつ実践する所謂「人生を半分降りる」生き方は面白い考え方であるが、僕はまだ実践に移せそうにないので、そんな行動力のない僕は痛い演技などせずに、或る程度社会に迎合しながら生きていくことにする。

そろそろ放置していた「自由からの逃走」を再読したいが、昨日買った「大衆の反逆」も読みたいし現在既に他に2冊併読しているので時間が欲しい。