「デザインのデザイン」
- 作者: 原研哉
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2003/10/22
- メディア: 単行本
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4月17日読了。2013年38冊目。
デザイナー原研哉氏による本。最高に面白かった。昨年の4月に、東大入試問題として使われて僕自身感動した「白」の購入を済ませたのだが未読なので近く読みたい。
原研哉氏の知性に驚嘆した。ふつう、デザインとは「見えるもの」に対するアクションであり、視覚に偏りがちである。一方、この本ではデザインに対してあらゆる感覚(原氏は五感という語に対して良いイメージをもっていない)を用いて考察されていて、僕自身もそういう観点で本に掲載されているデザインを観察してみると、そのデザインに対して重層的なイメージを構築できる。僕は「目に見えるものの背後に思想がある」というのが好きで、まさにそれをこの本で体験できた。しかも原氏の豊富な語彙とユニークな表現で。
あとはマーケティング・欲望・日本人論(僕が勝手に名付けた)もユニークだった。日本人のマーケティングは日本人の欲望を精緻にスキャンし、消費者側の欲求に寄りそう形で展開されている。故に商品は哲学や自己主張、さらには啓蒙性を欠いており、文化レベルの土俵においては優位性を保持することはできないのである。そこで原氏は、消費者側の欲求も考慮に入れつつ、消費者の美意識に働きかけ、エデュケーショナルな影響力(潜在能力を引き出す力)を与えるデザインをしていきたいと述べている。世界の文化を見つめることができる辺境・日本において。