うゑの2〜東京国立博物館編〜

この上野紀行は前日まで遡ることができる。
8月20日13時30分頃、僕は目覚めると同時に悔恨の念で満たされた。予定では7時半に起床し9時半に家を出て10時半に新橋駅に到着し、その後オリンピックのパレードを楽しんでいたはずである。その前の日の柔道の試合の疲労を考えたら仕様が無いと割り切ることができたが、この後悔は一層翌日の外出への情熱を掻き立てた。

今日は11時半起床。美術館・博物館に行こうと思っていたのでとりあえずその系統が充実している上野へと旅立つ。先週の日曜日ぶりだ。今回の旅のお伴は「カフカ短篇集」。ロシア文学2作品で疲労した後のドイツ文学である。

電車移動ではカフカ短篇集の「流刑地」に悩まされた。「変身」と比べてここに収録されている短編は全体的にシュールすぎる。

13時半頃上野に到着する。先週の日曜日に断念した東京国立博物館へ向かう。この写真の空が幻想的で綺麗。奥に聳え立っている建物が東京国立博物館

今季における東京国立博物館の特別展は「青山杉雨の眼と書」である。入場料1100円を払い平成館へ。写真の晴天が素晴らしい。

中国の書→絵画→青山杉雨の作品集→文房具(主に書道の)→書斎→写真展という構造で、青山が蒐集していた中国の作品は主に宋〜清のものだった。僕はよく作品の解説を読むのだが、書に関しての解説は「創造の可能性を表現」「教養主義の実践」等の抽象的な記述が多かったため、西洋美術展「ベルリン」の時と比較して理解はあまり進まなかった。絵画は素晴らしい。青山の作品だが、これも書に関してはよく分からず、というのが率直な感想。日本美術史的に斬新なことを成し遂げたのは分かるが、そっち方面の教養が皆無なのが原因で作品分析を深化できず。但し展示の中である興味深い考察が出来た。作品には難しい漢熟語が(例えば「麦秀」「澹如」等」)用いられているが、その英語訳だ。「麦秀」→「Wheat in Glorious Green」、「澹如」→「Non-attachment in All Things」、「猿声」→「Monkey's Cry」など挙げたらきりがない。「秀」が「Glorious Green」、「声」が「Cry」にニュアンスとして出ているなどして作品のニュアンスを汲み取る作業が地味に面白かった。表意文字スゲーナーってなった。また終盤になると書道の道具や書斎が展示されていたが、これが一番感動した。「自分の感性を刺激する文房具を使用すれば勉強の意欲もそれに比例して高まる」という思想を僕は持っているが、書道具の展示を見て、一層、経済的コストを犠牲にしてもよい文房具を使っていこうという気になった。書斎は僕の語彙で語りきるのはとても無理だが、ざっくり表現すると、荘厳であった。

続いて考古展示。縄文時代平安時代。受験では日本史も選択していたため文化史の知識はあったが直接見る機会はなかった。古墳時代の甲冑が一番印象に残った。写真は家形埴輪。他は上手く撮影できず載せる気にならない。

制服姿のJCが多くて興h

平成館で「青山杉雨の眼と書」と「考古展示」を見終えると連絡通路で本館へ。本館は主に日本美術の展示をしている。写真撮影が原則的にOKなのでテンションが少し上がる。この写真は1枚目の写真で写っている正面の建物。

正面から入ってすぐの階段の作りが駒場1号館のそれに似ている。写真に写っている私服JKが結構かわいかった。

四天王立像。12世紀平安時代

四天王立像(鎌倉時代)+阿弥陀如来坐像(平安時代)。

源氏物語蒔絵源氏源氏箪笥。17〜18世紀江戸時代。

色絵寿老置物。19世紀江戸時代。

阿弥陀如来坐像。12〜13世紀鎌倉時代。右上の壁が途切れているところが写ってて写真のクオリティが一気に下がって萎えた。

このあたりで疲れて眠くなってきたので、展示品を巻きで見るという愚行を犯した。3時間は東京国立博物館にいたので満足し退館。

お土産。ポストカード2枚(「開眼」と「田舎讀書園?」)とクリアファイル(「春望」)。


※散歩編に続く。