「風立ちぬ」

今日の朝、突如行こうという気になって、14時まで寝て18時半から某映画館で観た。
一人で映画を見に行くのは生まれて初めて。映画は嫌いなので今までは人に連れられて行くことが多かった。

以下ネタバレを含む。

今まで見たジブリの中では一番面白かった。最近見たジブリ作品は今年の2月にDVDで見たコクリコ坂で、その前になると10年くらい前だと思うので一番面白いという表現に信頼性はないが。

時代背景が好きだ。
関東大震災取り付け騒ぎが作品中で見られたので、恐らく1920年代を想定しているのだと思われる。作品中の登場人物が日本の技術的な欧米への遅れに関して何度も言及しているように、この頃の学生は今とは違い、学問、特に技術的な進歩に対して情熱があった。日本を背負って飛行機の設計に関わっていく登場人物を見ると、学生の自分も心を動かされるものがある。

雰囲気も良い。ノイズが少ない。つまり目にも耳にも優しい。ごちゃごちゃしてないので見ていて心地よい。登場人物はみんな善い人間ばかりだ、しかしこの作品全体を考えるとそれで良いと思える。

ただ僕的にはラストシーンが少し残念だった。カプロ―二と二郎の会話までは良かったのだが、その後菜穂子が出てきて二郎に向かって「生きて」という言葉を残した場面は正直あってほしくなかった。菜穂子のことに関しては、カプロ―二と二郎の会話の中で軽く触れてあとは含みを持たせてくれた方が締まりが良かった、というかそれが良い悪いじゃなくて僕個人としてそうあってほしかった。菜穂子の最後の登場は、山へ向かう背を向けて歩くあのシーンで十分だろう。

最後の最後のカプロ―二のセリフ。あれは良かった。

全体的に見て、細部までよく出来た映画だなと思った。いや、僕が映画を全く見ないのでそう感じるのであって、映画の作品は大体細部までしっかりしているのかもしれない。

しかし、昭和時代に憧憬の念を抱く平成生まれは僕を含めて多いと思うが、これは一体何なのであろう。昭和時代が舞台の作品はハズレが少ないし、少なくとも昭和補正というものは存在するようである。まぁでもイメージであるが昔の方が規格化も平準化も没個性化もしていないし人間関係も今ほど煩わしくないように思えるし、それは確実に魅力的なことである。