「公務員試験のカラクリ」

公務員試験のカラクリ (光文社新書)

公務員試験のカラクリ (光文社新書)

9月21日読了。夏休み37冊目。

民間就職も公務員も候補にある中で、まだ何も知らず何も決めていないが公務員には興味があったので2,3時間で一気に読み切ることができた。


・学生サイド
公務員試験は、大多数の就活生が行う民間就職活動と異色である点で「ガラパゴス化」している。公務員試験は大学受験と異なり、教養試験や専門試験で様々な科目の勉強を要求されるため、念入りな準備が必要となる。さらに公務員試験一本に絞った用意周到な学生も落ちることもあるし、民間就職活動に間に合わないことから就職留年という選択肢がとられることもある。

公務員志望者はその業務内容よりも待遇などの「余得」に注目する傾向が強い。公務員の状況は民間と異なりマクロ経済に影響を受けることは少ないので、その安定性も学生を魅了するのであろう。

・学校サイド
官僚のような最難関から比較的難易度の低い試験まで一括して「公務員」と呼ばれ、そのブランド性が世間を魅了していることから、伝統や偏差値の面で一流大学よりも学生の集客に骨を折る大学サイドも、公務員試験合格者を売りにすることで生徒集めに利用することができる。

資格スクールも激戦を強いられる。サークルやバイトや学校の勉強など何足ものわらじを履いている学生としては、資格スクールの方が効率的に、圧倒的な情報量の中で勉強をすることができる。平たく言って「頭の悪い学生」もテクニックや問題パターンの攻略次第で公務員試験を突破できるが、公務員に適正でない学生を公務員試験に通すことに良心を苦しめられる、つまり、自分の立場と国益という観点のジレンマに苦しむ講師もいるようである。

・採用者サイド
従来のように筆記試験さえ出来れば面接で相当なヘマをしない限り採用、といったことはなくなり近年の公務員試験の動きとしては、面接も重視するようになった。特に国家公務員の官庁訪問は、比較的インフォーマルな形式で行われる上に、度重なる訪問や長時間の待ち時間が要求される。

地方公務員試験で近年取り入れられている経験者採用は、経験者採用と銘打っていることとは裏腹に、その経験と関係のない部署に入れられたりすることがある。